毎日、さまざまな化粧品を使って入念にスキンケアを行っているつもりなのに
洗顔後の肌につっぱりを感じたり、頬や口もとがカサついたり、ということはありませんか?
肌の保湿力をキープするには、どんなケアが必要なのでしょうか。
また、保湿力を低下させてしまう原因には、どのようなことがあるのでしょうか。
原因をしっかり知ることで、さまざまな肌トラブルの元凶である乾燥をくいとめましょう。
正しい保湿とは?
保湿というと、「肌に水分をたっぷり入れること」と思いがちです。
しかしそれでは一時的にうるおっても、時間とともに乾燥してしまいます。
正しい保湿とは、肌が本来持っている「みずからうるおう力」を生かし
うるおいを保つバリア機能をサポートできるよう、肌環境を整えることです。
私たちの肌は、外側から表皮・真皮・皮下組織の3層構造をしています。
なかでも肌が本来のうるおう力を保持するために影響しているのが、表皮の一番外側にある角層です。
角層では、天然保湿因子(NMF)が産生され、水分をしっかり抱えこんだ状態で角層細胞のなかに存在しています。
さらに、角層細胞を包む膜が成熟していると、角層細胞一つひとつを
モルタル(タイルとタイルの間を埋めるセメントの一種)のようにつなぐ細胞間脂質がきれいに整列し、正常な角層の形態が保たれます。
さらに、角層の表面を皮脂と汗が混ざり合った皮脂膜がベールのように覆うことで
肌の内部から水分が蒸散しにくい構造となり、紫外線やホコリ、花粉、ウイルスや細菌など
外部の刺激から肌の内側を守る「外壁」の役目を果たすことができます。
このためスキンケアでは、これらの肌のバリア機能を担う角層の環境を整えることが大切なのです。
肌の保湿力が低下する原因
肌のバリア機能が低下すると、肌から水分が蒸散しやすくなります。
また、角層の保湿成分が減少することでも、肌の保湿力は低下します。
それが起こる原因として、以下のようなことがあげられます。
季節や室内環境、紫外線の影響
気温が急激に下がる秋から冬にかけては、空気がとても乾くようになります。
また冬以外でも、冷暖房が効いた室内は常に空気が乾燥しています。
このような環境に長時間いることで、角層から水分が奪われて乾燥しやすくなってしまいます。
また、紫外線は肌表面に日焼けを起こし、角層から水分を奪って乾燥の原因となります。
肌のターンオーバーの乱れ
肌はターンオーバーと呼ばれる新陳代謝をくり返すことで、角層細胞を定期的に入れ替え、肌のバリア機能を維持しています。
しかし、睡眠不足や血行不良、バランスの悪い食生活などによって
このターンオーバーのサイクルが遅延すると、水分の少ない古い角層細胞がいつまでも肌に留まり、乾燥が進みます。
一方、ターンオーバーのサイクルが早すぎると、角層が未熟な角層細胞ばかりで形成されてしまい、同じく乾燥が進みます。
間違ったスキンケア
メイク落としや洗顔のたびに肌をゴシゴシとこすったり
スクラブ洗顔や毛穴パック、ピーリングなどを頻繁に行ったりしていると、角層が傷ついて水分が逃げやすい肌状態になってしまいます。
また、洗浄力の強いクレンジング剤や洗顔料で洗ったり、熱いお湯ですすいだり、洗顔の回数や頻度が多かったりすると
肌の保湿を担っている天然保湿因子(NMF)や細胞間脂質、皮脂を洗い流してしまい、肌の保湿力低下につながります。
洗顔後、肌につっぱりを感じるようであれば、いつも使っている洗顔料や洗顔方法の見直しを検討しましょう。
年齢と乾燥
肌の保湿力を担っている角層細胞内の天然保湿因子(NMF)や皮脂(皮脂膜の主成分)は
年齢とともに減少します。それにともなって肌のバリア機能も低下し、外界からの刺激に弱くなってしまいます。
一方、赤ちゃんはバリア機能が完成していないことから、乾燥による肌トラブルを起こすことがあります。
このように、乾燥によるバリア機能の低下は年齢を問わず起こりうるのです。
正しい保湿スキンケアとは?
最後に、肌の保湿力をはぐくむスキンケアの方法についてご紹介します。
洗顔はやさしく
洗顔の目的は、肌についたほこりやメイク汚れ、酸化した皮脂などを落とすことです。
しかし、すでに説明したとおり、洗顔のしすぎは肌に必要な保湿成分を失うことにもつながります。
洗顔はまず手の汚れや油分をきちんと落としてから、洗顔料をたっぷり泡立て、泡をクッションにしてやさしく洗いましょう。
すすぎは必ずぬるま湯で行い、洗顔料が肌に残らないようすみずみまで洗い流してから
清潔なタオルを肌に押し当てるようにして水気を拭き取ります。
洗顔・入浴後はただちに保湿を行う
洗顔後は肌が乾燥しやすくなっていますので、すみやかに基礎化粧品で保湿ケアを行います。
まずは化粧水で肌に水分を補い、肌をやわらかく整えてから、美容液や乳液、クリームなどで保湿成分や油分を補いましょう。
化粧水や乳液は適量を守り、肌のすみずみまで行き渡らせましょう。
コットンを使うと顔全体に化粧水をムラなく浸透させることができますが
コットンの繊維で角層を傷つけないよう気をつけましょう。
肌の状態によってはコットンが刺激になることもありますので、清潔な手のひらに取って直接なじませるのもよいでしょう。
化粧水や乳液を手の熱で温めてから顔に伸ばしたり
保湿ケアの最後に両手で顔をやさしく包み込んだりすると、化粧品が浸透しやすくなります。
角層をすこやかに保つために保湿・保護成分を補う
角層をすこやかに保つには、角層そのものを育てて、成熟した状態に保つことが必要です。
そのためには、角層のうるおいと皮脂のバランスを整えることが大切です。
これらの機能に近い働きをする成分を化粧品で補うことにより、肌の保湿をキープすることができます。
保湿成分や、肌バリアの保護成分にはさまざまなものがありますので、自分の肌にあったものを選ぶようにしましょう。